【書評・要約・まとめ】29歳の教科書【越川慎司】

読書

今回の記事は書評記事でございます。

少し年齢オーバーでありますが、30歳の僕が『29歳の教科書』を読んでみました。

はっきり言って名作です。ちゃんと29歳のうちに読みたかったです。むしろ、25歳ぐらいで読んで早めに本の内容に取り組んでいてばよかったなと思います。

時代の流れにあった今後取り組むべき方法論などがエビデンスと著者の経験談を基にきれいにまとめられています。

今回の記事ではそんな『29歳の教科書』についてまとめました。

著者は越川慎司さん。元日本マイクロソフト社の責任者を務められた方です。越川さんの他の著作としては5%シリーズが有名です。

5%シリーズは実際の5%社員にアンケートやインタビューをされております。そのため、実際の体験談やデータが基になっておりますが、今回は「29歳の教科書」という題材でご自身の経験を基に未来を見据えながら書かれている1冊です。

それではまとめていきたいと思います。

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29歳の教科書

プロローグ 新時代のオープンワールドを生き抜け!

第1章 これからのキャリアはRPG化する

第2章 テクノロジーが働き方を変える

第3章 「29歳」というターニングポイント

第4章 大変化を生き抜く「ずるい」仕事術

第5章 オープンワールドで必要な「7つの力」

第6章 Web3時代の「経験値」の積み上げ方

エピローグ すべてが「フリー」になる

第1章 これからのキャリアはRPG化する

「安定を考えるなら大企業を目指すのが良い」まずはこの言葉を疑ってください。変化の少ない安定した環境では「体が大きい生物」が最強でした。

ですが、テクノロジーの進化によって、私たちが生きている現代はこれから急激な変化が起こっていくことが予想されます。

なので、「大企業に入れば、倒産することはない」「我慢して働いていれば、給料は着実に上がる」こういった親世代の常識はもはや通用しません。

だからと言って「ベンチャー企業に入れ!」「起業しろ!」と言いたいわけではありません。

20代、30代は自分のいるフィールドにおいて、正しいスキルアップの方法を身につけること、しかも、その努力を絶え間なく継続することが必要不可欠なのです。

そんな中で日本では以下の5つの制度が、今後2040年頃までに変更を余儀なくされると考えます。

  1. 雇用制度
  2. 教育制度
  3. 評価制度
  4. 管理職登用制度
  5. 副業制度

こうした5つの制度が”グレートリセット”されることで、働く環境はポジティブに修正され、働き手が少なくなっても企業や社員が成長していく道が開かれます。

これからのビジネスでは、さまざまな壁がなくなったボーダーレスな環境で、多様な能力が絡み合い、従来経験したことのない解決策、つまりイノベーションを生み出すような働き方へと大きく変化していきます。

社会の変化を踏まえ、これからのキャリア構築は「ロールプレイング型」になると考えられます。自分が目指すキャリアゴールに向けて自分自身で探索していきます。自らが課題を設定し、転職や学習などに自立的に取り組むことが求められるようになるのです。

第2章 テクノロジーが働き方を変える

今後、テクノロジーの進化によって社会の変化が加速します。テクノロジーの変化が、働き方の変化をもたらします。

「Web3」によって今後、個々人がつながっていきます。ここでは個々人の信用をベースとして情報や通貨がやり取りされます。会社や国の枠を越えてネットワークが広がり、全世界で共有されるようになります。

以下のようなテクノロジーが進化し、以下の「」内のような変化を起こしていきます。

  • ブロックチェーン「上司ではなくネットワークに評価される」
  • NFT「人材に値付けが始まる」
  • 衛星通信「場所関係なくつながる」
  • メタバース「居住地に関係なく誰とでもつながる」

筆者の会社ではこのWeb3の特性を生かした働き方を5年半にわたって継続して行ってみました。

その中で気づいた2つの事実があります。

①都市部のアドバンテージは消えつつあること

②自分の仕事が見えてくること

の2つです。

ネットワークの進化によってリモートワークでつながることが可能になりました。能力のある人はどこに住んでいても引く手あまたになるように、都市部に住む有利性はいっさいありません。

また、テクノロジーの進化によって、改めて「人間にしかできない仕事」が明らかになりました。テクノロジーでは代替できない業務が分かってきたからです。人間にしかできない仕事がわかってきて、自分が目指すべきゴールをより明確な形で想像するようになりました。

第3章 「29歳」というターニングポイント

筆者は「29歳」が人生の大きなターニングポイントになりました。人生で初めての精神疾患を患い、初めての転職をし、初めての会社破産を経験しました。この経験が筆者の意識と行動を大きく変えました。

もともと20代というのは「悩む時期」だと思います。20代、30代を対象に「働きがいを感じるときはいつですか?」というアンケート調査を行いました。アンケートの結果、ほかの世代よりも他者からの承認を欲しているようです。人から承認されるには「達成」をしていないといけません。上司や人事部と対話し、「共通目標」をつくり、「目標」を「達成」していかないといけません。

ジョブ型雇用で20代は不利になる

日本企業ではジョブ型雇用が進みます。このトレンドでは、20代の若手社員は他の年代より不利になります。これまで、会社側が時間とお金をかけて、育成した30代以降の社員と、自律学習を前提として教育機会を失った20代社員とが同じ基準で比較されるからです。このような状況では、「仕事は自分で取りに行く」というスタイルで働くことが求められます。

魔法が使える戦士が強い:マルチスキル習得でオンリーワンを目指す

複数の会社に所属して複数の仕事を行うマルチキャリア(複業)が当たり前になります。複数の企業に求められる人材になるには、マルチなスキルを積み上げていかなければなりません。それでは、どうやってマルチなスキルを積み上げていくべきか?3つのステージに分けて学び方を変えていくことを推奨します。

ステージ1 学校教育で学ぶ社会スキルを中心に社会性を身に付ける

ステージ2 OJT形式で、会社が必要とするスキルを積み上げる

ステージ3 自分で必要なものを自分で考えて、自発的に学んでいくプロアクティブな学習プロセス

の3つのステージです。

「自分でやる」という選択権を握ることはとても大切です。これを「自己選択権」と呼びます。自己選択権を得るためには、会社で「すべきこと」「したいこと」「できること」の3つのバランスを考えていく必要があります。この3つのバランスを取るための手段として「転職」という方法を検討するものありです。

第4章 大変化を生き抜く「ずるい」仕事術

「雑草の戦略」が最強の生存戦略

生物の究極の目的は「生き抜くこと」です。そして、生物界で最強なのは雑草です。現代は少子高齢化とテクノロジーの急速な進展で、不安定な変化が続きます。私たち人間も、「雑草の戦略 」で生き抜く術を身につけるときがやってきました。

ラスボスは自分

自分が主役の人生、そして自分で切り開くキャリアは他社からの評価ではなく、自己評価をすべきです。自分の行動を決めるのはあくまでも自分と割り切り、自分の経験には必ず誰かの役に立つと信じてスキルを磨き続ける。それを習慣がすることが大切です。

副業で市場ニーズを把握する

働く人の副業に対する潜在的なニーズが高まる中で、社会や企業の受け止め方も少しずつ変わってきました。社員の副業を原則許可する企業が増えてきました。会社にとっても社員が社外での活動で得たスキルや知見を、本業に生かすことが期待できます。

副業を複業へと進化させる

そして今後は「副業」よりも「複業」が主流になっていくでしょう。とりわけ、「第3のプラットフォーム」(モバイル・ソーシャル・ビッグデータ・クラウドの4要素)での活用が注目されるIoTやAIの分野では人材が不足するといわれています。売ることができるスキルがあれば、年齢にかかわらず必要とされます。将来を見据えて新しい働き方への挑戦を週に2~3時間でもいいので、早めにトライしてみることをお勧めします。

第5章 オープンワールドで必要な「7つの力」

今後は社内、社外の壁がなくなり、オープンワールドが働く場所になります。この広大でオープンなフィールドを生き抜いていくために、以下の7つの力が必要になります。

  1. 探索力 課題と必要なスキルを自分で探す
  2. 学習継続力 一生学び続ける覚悟
  3. 復元力 ダンジョンから抜け出る
  4. 初動力 行動力の起点
  5. 巻込力 パーティを組む
  6. 集中維持力 自分なりのゾーン突入法を知る
  7. 洞察力 「Why思考」で根本解決をする

第6章 Web3時代の「経験値」の積み上げ方

Web3時代のキャリア構築法

今後のWeb3の分散型プロジェクトの進展と、その後のWeb4の中央集権型管理社会の到来に備えて何をすべきか――――。

キャリアを切り拓いた若手社員がやっていたのは高速セルフPDC+小さいAです。変化の激しい時代は、「プラン」に時間をかけても成功確率が上がるわけではありません。まず「行動」し、そこで得た学びを「確認」して状況に合わせて修正しながら「アクション」へつなげるのです。

「内省」で失敗から学びを得る

「リフレクション(内省)する」ことを習慣化すると、常に新たな改善点が見えるようになっていきます。単に経験するだけでなく、経験を次に活かすためのプロセスが重要です。そうしたプロセスを理論化したものが「経験学習モデル」です。たくさんの経験をして、笑ったり泣いたり、怒ったり喜んだりする。人生経験を積み重ねていくことで、経験値を増大させていくのです。

キャリアがRPG化する中で以下のようなアイテムと装備を手に入れることができれば自身の経験値を増やしていくことができます。

最強アイテム1 睡眠で健康年齢を伸ばす

最強アイテム2 飛ばし読みの多読で偶然の出会いを必然にする

最強装備1 苦労を乗り越えた経験を蓄える

最強装備2 数字で表現できる実績を持つ

最強装備3 いつでもどこでも自律学習する

エピローグ すべてが「フリー」になる

これからはあなた自身が主役のキャリアを歩みます。就職した企業に「おんぶに抱っこ」で頼っていくのではなく、会社から頼られて仕事を受けていく形になります。自分が主役の人生を生きるために会社という手段を活用するようになります。

専門性を磨いた、さまざまな企業で活躍することができ、一つの会社に依存することなく、思う存分自分の能力を発揮して複数の会社から報酬を得ることができるようなフリーランスが拡大していきます。

すでに欧米ではこの流れが来ており、能力のある人は成果を出す機会が増え、社会を支える人たちは経済的不安から自由になり、いきいきと働ける社会になっていきます。

「未来」はすでに始まっています。今はゲームを始める前。RPGの新作を買うために行列に並んでいる状態です。新たな挑戦に期待を膨らませて、その世界で大きくジャンプするために、少しかがんでいる状態。それが、いまを生きる「29歳」のポジションです。

まとめ

29歳というのは今まで生きてきた人生を見直すいい機会です。30歳を迎える一歩手前の段階です。

過去を振り返ると、社会人としての経験値もそれなりに増えてきて、満足のいく社会人生活をおくることができているでしょうか。

そして未来を見据えると、新しい時代が迫ってきており、その時代の流れにうまく対応できているでしょうか。

これからの世界はさらに大きな変化が予想されます。その中でうまく生きていくためにぜひこの教科書を手に取ってみてください。本の題名に29歳とはありますが正直関係ないです。19歳でも29歳でも79歳でも手に取ってもらって読んでもらいたい1冊です。

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